通天閣の北側スグの場所に、三好額縁店があります。
店主さんの話によると、昔に比べると額縁や画材を取り扱う専門店が少なくなってきているそうです。
以前は、新築のお祝い等に絵画を贈ったりした時代もありましたが、今は少なくなってきました。
しかし、新世界の名物店にもなっている『三好額縁店』は今なお健在です。
初代通天閣の時代から新世界で商売を始め、額縁専門店になってから半世紀が経ちます。
店内には様々な額縁が所狭しと並んでいます。
また、オリジナルの額縁の受注もあり、2階にある工房で店主さんが腕をふるう時もあるそうです。
ところで、店主さんの奥さんは、今から約30年ぐらい前、通天閣でアルバイトをされてました。
エレベーターガールやチケットのもぎりなどをしていた光景を私も見たことがありました。
現在の三好額縁店の店主さんは、当時20歳代です。
解りやすいように、現在の店主さんを三好君と書かせていただきます。
先代の店主さんが店を切り盛りされていて、三好君は跡継ぎの息子さんでした。
通天閣でアルバイトをしていた女性が三好額縁店の並びにある「喫茶サン」で食事をしていたそうで、その時に、三好君と知り合ったそうです。
その女性こそ、三好君の奥さんになる人でした。
その後、三好君は、女性がアルバイトをしている通天閣に足繁く通い、見事、心を射止めたというわけです。
当時の通天閣は、2階までは無料で入れたので、気軽に会いに行けたようです。
今のように観光客で賑わう通天閣ではなく、平日はガラガラだった時代で、お喋りできるぐらいの時間はあったようです。
そんな通天閣で咲いた恋の花、なんて言い過ぎかもしれませんが、当時、地元の人の中でも有名な話になってました。
三好君は、昔はおじさんが飲んで食う街というイメージでしたが、これからは若い人たちの出会いが広がる街になればいいなぁ〜と思うことがあるそうです。
通天閣、新世界で結ばれた恋を経験している三好君らしいコメントですね。
三好額縁店の店主さんご夫婦は、2013年9月に、NHKBSプレミアム「新日本風土記」で紹介されたことがありました。
番組のホームページには、『浪速の恋・・・昔から通天閣はデートスポット。ここで結ばれた額縁店夫婦の恋物語。』と記載されてました。
今の新世界なら、若い人たちの出会い場は、串かつ屋さんになるかもしれませんね。
時代は流れ、街並みが変わっても、若い人たちの思い出の場所、心の中に残る大切な場所、そんな新世界であってほしいと思います。
■NHKBSプレミアム「新日本風土記」ホームページ
https://www.nhk.or.jp/fudoki/130920broadcast1.html