先日、うちのコ-ヒ-店「スラウェシ・ビ-ンズ・ジャパン」に、ひとりのおばあちゃんが来られました。
おそらく、80歳は超えてたと思います。
注文されたのは、ホットコ-ヒ-とケ-キ、ちょっとハイカラなおばあちゃんです。
おばあちゃんの話によると、今から60年以上前、昭和25年頃、新世界の近くのアパ-トに住んでいたそうです。
当時、たたみ1畳=1000円というのが相場だったようで、4畳半=家賃が4500円の部屋に住まれていたそうです。
おばあちゃんは、テレビ番組「ちちんぷいぷい」で、『上海帰りのリル』(歌/津村謙)という歌が紹介されたのを観て、昭和25年頃、新世界でその歌がよく流れていたことを思い出し、約60年ぶりに懐かしい新世界に来られたそうです。
ユーチュ-ブで「上海帰りのリル」を検索したら動画も観ることができます。
当時の新世界には、映画館がたくさんあり、全ての封切り映画を観れたそうです。
『上海帰りのリル』は映画にもなったそうで、新世界でも上映されてたのでしょう。
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『上海帰りのリル』歌詞
船を見つめていた
ハマのキャバレーにいた
風の噂は リル
上海帰りの リル リル
甘いせつない 思い出だけを
胸にたぐって 探して歩く
リル リル どこにいるのか リル
だれかリルを 知らないか
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一番の歌詞だけ抜粋しましたが、哀愁を感じる、戦後の日本、昭和26年頃の時代背景が推察される歌詞になっています。
60年以上も経ってるので、新世界の様子も変わり、もしかしたら当時の面影すら少なくなっているかもしれません。
街の変貌については、おばあちゃんは当然のことだと受け入れつつも、「昔に比べ、新世界は変わったね」と少し寂しそうにおっしゃってました。
若い頃の思い出や懐かしさは、誰もが持っています。
おばあちゃんにとっては、新世界が若かりし頃の思い出の場所であり、懐かしさがいっぱい詰まった街だったのです。
ところで、ファ-ストフ-ドやカフェではない、新世界には数多くの喫茶店が営業しています。
喫茶店の魅力のひとつは、店主さんとお客さんとのコミュニケ-ションでしょう。
初めて来られたお客さんとでも、喫茶店だからこそ気軽にコミュニケ-ションが生まれます。
お客さんの話を聞いてると、様々な人生がありドラマがあります。
知り合いにあえて話する内容でもない、知り合いでもない店主さんと、そんなたわいもない話ができるのが喫茶店でしょう。
あのおばあちゃんは、今の新世界で、「当時の何か」を見つけることができたのかなぁ…と、一度だけ出会ったおばあちゃんのことを思い出す今日この頃です。
★Twitter@shinsekaizyoho
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